本日で40歳。39歳の夜にひらめいたことを記すとしよう。
僕には映画にたづさわっていた時期がある。 学生時代は日本映画学校の編集科に在籍していた。 だからモンタージュ編集など今も映像を見るとつい眼が意識をしたり、 映像リズムが不快に感じることがある。 同期生で今も付き合いのあるMさんは ウルトラシリーズのテレビや映画の編集をしていて、 怪獣との格闘シーンなど流石だなと脱帽するが、 映画に未練がましい落ちこぼれた僕はMさんより 情感のあるドラマシーンは自分の方が上手と負け惜しみすら感じたりする。 でも、当然のことながら現役で活躍しているMさんには敵うわけはない。 さて、ひらめいたのは陶芸作業で映像編集に似ている作業があると思ったのだ。 僕は焼いて融けて交じり合う釉調というのが面白く、 焼き物作業の中で焼成を想像しながら行なう釉薬がけが1番好きなのだ。 これは意外にも少数派であまりそのような話を陶芸家を聞くことは少ない。 もちろん皆無とは言わないが。。。。 日本の映画では撮影現場で監督がストーリーシーンを作りったり、 カメラマンが自主的にカット撮影素材を用意してくる。 それらの素材を後で編集マンが整理して映画のテーマに即して 好きなようにカットの順番を決めていく。 ここでは撮影現場では見きれなかったり、足りなかったりすることを 冷静な客観視で編集マンが組み立てていくのだ。 まあ、実際は編集理想論で監督が実権を握ることが多いのだが。。。 何せ学生時代に教えを授かった先生が日本映画編集を代表する浦岡敬一さんで 映画は編集マンのものだと豪語していたからね。 例えば今村昌平監督の名作『復讐するは我にあり』は映像編集で 今平監督と編集浦岡はイザコザで揉めはしたものの、 浦岡さんの映像リズムあってのストーリーテーラーのテンポや 情感シーンのメリハリが生きたのは間違いはないだろう。 ん、横道にそれたがここでの話しは陶芸釉薬がけと映像編集の酷似でしたね。 陶芸ではいろいろ思いや感情を思惟しながら、手ひねりやろくろで成形した後 乾燥時間でその制作作品としばらく時間を置き、800℃前後の素焼きを経て 釉薬がけに至るのだが、そこで素焼きになった作品を手にして 生の制作時では見えなかったり、足りなっかた造形の部分が見えてしまうのだ。 焼き物における様々な工程の妙で、どうしても制作時のテンションや ポテンシャルの継続維持は難しく、そこで見えたものを釉薬掛けで もう一度、制作時同様か、それ以上にパッションをあげる必然があるのだ。 これは映像編集作業に似ていて、撮影現場の方は撮影シーンを取り上げて ひとつの区切りムードであるが、編集サイドはそこからがいよいよ本番なのだ。 現場ムードを考慮しながらも、シナリオをじっくり読み込み、 映画テーマを伝わるように映像を組み立てていく。 陶芸の釉薬掛けも同様に皿なり、壺なり、オブジェなりの素焼き生地に 自己のテーマに即しながら、数多くの原料や釉薬種類で組み立てて ひとつの作品を作っていく。 そこの同義性に気付いたのです。 これまでは幼児期から絵を描くことが好きだから 釉薬掛けが好きなのだと単純に思い込んでました。 (思い込みはひらめきの敵ですな。) そうではなく、釉薬掛けの状況で制作時のテーマと焼き上がりの理想想像しながら 素材を組み立てていく工程が面白いのだなと思いました。 焼きあがった作品フォルム(かたち)はもちろんのこと、 釉薬の妙が混じりあいながら、ひとつの映像のような効果で モンタージュされる陶芸が僕のやみつきなのです。 これが陶芸編集という仮説です。 出町光識 こぼれ話。。。 日本映画学校 演出科の入試試験を受けた時に、テスト答案用紙にこれでもかというほどに 編集のアイデアで空白を埋め尽くしました。答えはひとつ描けば良かったのですが、 どうしても学校に入学したくて書きまくったのです。そして最後の一文に、 『浦岡敬一さん、僕が入学した暁にはもっと多くのアイデアを見せますよ。』と書きました。 第一志望の演出科には落ちましたが、第二志望の編集科に入学したのです。 まだまだ、怖いもの知らずの18歳でしたね。もうその時から今日で22年が経ちましたね。 応援のクリックはポチポチとね。 人気blogランキングへ
by super-bird
| 2008-01-08 10:36
| 気になるおしゃべり
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