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夏妖
暑さを忘れる夕涼み、鈍光な鉛のような空の隅から、

それに似合わぬ軽い風に乗り、快いお囃子がこだまする。

部落や字の夏の神声を、高らかに澄み吹き飛ばしてきたのだ。


あたかも近いような囁きの誘いに、散歩の足をいつもより、遠く遠くと歩かせる。

やがて風は歩む道や、疲れ知らずな足に、シャラシャラ シャランと、まとわりつく。


低くすべり、這い泳ぐ風は、田園の緑毛をかきあげ、大地がひとつの生き物のように、

ユサリユサリ ユサリユサリ、キュッキュル クアワリクラリンと大地を揺れ動かし、

上下に大きく這い上がり、ムッカリヌッカリと地上が踊りだす。


夏祭りに酔いしれるお囃子のせいだな。

それとも昼の暑さが嘘だと思わせるこの妖風のせいだ。


いつの間にか風に足元をすくわれ、踊る物の怪の背に乗ると、

コロコロと笑いがとまらなかった。

こんなに楽しんで笑う大人がいるのかと、

益々もってコロコロがコロコロとなり、嬉しくなった。


緑猫の毛ダンス? 緑とぐろ大蛇の行進? 激しい龍の飛走する鱗背?

何処までも笑い声あげて、遠くに行ける自分がいた。   出町光識



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by super-bird | 2008-07-20 20:19 | 散歩to旅
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