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意志の所在
ゲリラ豪雨のため、何時間にもわたり雷鳴と強雨が猛威をふるっていた。

激しい雨は深夜まで続き、川は増水し、近所でも床上浸水まではないが、

高台から低い道路に雨水が流れ込み、何十センチも溜まっていた。

その自然の怖い姿に辺りを気にしながらも、眠りについた。


だいぶ眠っただろうか、夜分遅くに虫の音が静かに聞こえると、

雨上がりの静かさゆえに目を覚ました。


その時、昼間すぎにアトリエに訪れた客人のことを思い出した。

自分の意志に従う静かな姿が、なぜだか秋虫の音が重なり合った。


人にはそれぞれ優先順位があり、その1番が自己存在を維持するのだろう。

ときに1番、2番、3番は気分や状況で入れ替わるが、

結局のとこは1番だけでしか、意志を押し通すことはできないのだろう。


その方とボランティア作業で、お付き合いがあるゆえか、

その人の孤軍奮闘している姿を何度も見てしまうことがある。

周囲に集まる人たちが、それぞれ優先順位を大切にする生きる仕方なさから、

一緒にしている作業から徐々にを抜けていく。


そういう自分も偉そうにはいえず、仕事の忙しさから連絡や作業で、

不義理にしていたこともあり、なんともズルイなと反省した。


このとこは、しばらく人に会いたくない病や、器作りに追い込まれていて、

アトリエに引きこもっていたからな。


その人と話しながらその燐とした姿に、意志を押し通すことは、

どんなであれ人は1番大切なことでしかできないのかなと思った。


では自分にとっての1番はなんだろう。


その優先順位の1番を持ってしか、はなかなかと人付き合いできないかなと、

自分の不器用さ(ズルさ?)ばかりが頭を廻った。

自己優先の1番のみで関係性を持った人と、唯一関われるのかな。

むろん、そんなことでは息も詰まるのだろうが、

1番をないがしろでは自分にとっては息が詰まる。


それ以外の2番、3番の大切なことは、不器用人には、

小器用にはどうすることもできない。どうにもならないのだな。


でも、1番さえ、常に心に意識できれば、意志も通せるのかな。

まあ、それも不器用人な自分には難しい。(イイカゲンなかな。)

結局のところ、そんなことが静かな虫の音に侘しく重なったのかな。


意志を静かに持つ人は、虫の音のように美しい。


またも、夜中を突き裂く雷鳴が轟き、強い雨が降ってきた。

泣いていた秋虫はどこかに行ってしまったらしい。      出町光識


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by super-bird | 2008-08-29 20:32 | 気になるおしゃべり
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