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釉薬の鉄人(人情韓国陶芸紀行7)
韓国の利川(イチョン)で日本陶磁器界の

貴重な人物とお会いすることができました。

一期一会とは不思議なもの。。。


釉薬の鉄人(人情韓国陶芸紀行7)_d0074542_251878.jpg

それは高嶋広夫先生です。


日本には釉薬の鉄人が3人います。

芸術の釉薬、大西政太郎先生。

思想の釉薬、加藤悦三先生。

趣向の釉薬 高嶋広夫先生。

その釉薬大家のおひとりです。


10年以上前になりますが

茨城県 笠間焼窯元の修業時代に

笠間窯業指導所で大西先生の講義を受け

その印象は一言で西部劇のジョン・ウェインのようでした。

地元陶芸家の質問にバサバサと答える姿が

格好良く、まさにガンマン拳銃さばきのようでした。


その時の教えが今も自己陶芸観の核となっています。

『焼いて混ぜる』と言う考え方です。


加藤先生とは残念ながらお会いしたことはなく

直接電話で資料文献を取り寄せてお話したぐらいで

文献知識がほとんどですが

師匠の梶谷先生が名工試で(名古屋工業試験所)

お世話になっていたので話は良く聞いていました。


韓国の陶磁産地で高嶋先生とお会いするなんて

本当に感慨深いな。


釉薬の鉄人(人情韓国陶芸紀行7)_d0074542_2323463.jpg

(高嶋先生に
自分が薪窯焼成した
三島手壺を説明する筆者)

高嶋先生と話す機会は貴重なこと。

これを期にたくさんの質問をしました。

釉薬の見方や知識、

釉薬は『混合』ではなく『融合』することなど。

もちろん高嶋先生が幼少の頃に見たり体験した

窯たきのことは人間的で面白かった。


この翌日は韓国 明星大学の教授陣、

大学院生、卒業生の前で自分が

恥ずかしながら授業講義を行ないました。

テーマは『薪窯と出町流釉薬技法』。


思考の美のバトンは先人から僕の手に

そして次なる走者へと受け継がれる。

縁(えにし)とは深く面白い。


僕らは陶磁美観史という大きな流れの中で

生きているのではなく、生かされているのだと

本当に感じた1日だった。


なお、思想の釉薬鉄人 加藤悦三先生は

この場の韓国滞在時に一週間前に死去した

訃報を教えていただきました。

ご冥福をお祈りします。 合掌。   出町光識


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by super-bird | 2007-05-30 03:07 | 美術to工藝
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