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筑波山とイサムノグチ (太陽刻天その3) 
筑波山は常世の国、今の茨城県 つくば市、石岡市、桜川市に

すそのを広げて、多くの自然豊かな風景や、気候を生み出しています。

その美しさは、イサムノグチさんの友人に宛てた手紙にも書かれるほどです。


『1番良い石は、いつも澄んだ小川か泉水の近くで、
 筑波山のような言葉に尽くせぬ眺めをもったところで見つかるのです。
 筑波山ではこの季節、花々が優しく芽ぶいています。』

                                  (書籍 評伝イサムノグチより)

この手紙はイサムノグチさんの友人 プリシラ・モーガン氏に

1960年5月5日の消印で送られたものです。


この時期、5月の真壁町にイサムノグチさんが訪れたことは、大変喜ばしいことです。

筑波山の麓では、その恩恵を受けた、石工さんがピンシャンピンシャンと石を刻み、

山から水を引く水田には、農家さんが実りを願い田植えをし、

焼き物の陶工さんは土を捏ね、煙突からは煙が舞い上がっていたことでしょう。


自然の豊かさは5月頃の、若々しく草木が期待に満ち、萌黄色が芽吹く頃が、

今でも一年間通して美しいと、自分も感じています。

そして青い空には、子供たちの成長を願った鯉のぼりが、泳いでいたのでしょうか。

『♪大きい真鯉がおとうさん、小さい緋鯉がおかあさん~♪』てね。


そのような風土環境に、イサムノグチさんが訪れて、

鈴木商店さんの案内する石切り場に向かいました。

ひとつは真壁白井地区、ひとつは真壁から湯袋峠をこえた山中腹に
                      (正確には八郷と思われます)

自分の求めるものを探しました。


前文手紙の記述にもありますが、『1番良い石は、いつも澄んだ小川か泉水の近くで。。。』

この辺りには小川もあり、5メートルから10メートルの滝もあります。

イサムノグチさんは水脈を読みながら、粘り強く丹念に、良い石を求めました。

この真壁での体験は推測ですが、イサムノグチさんのフォートワースでの

ファーストナショナル銀行の彫刻に、影響を与えたと感じます。


当時に石を採掘するさいに宿泊した場所は、今なお健在です。

『山の宿 桜井館』といい、イサムノグチさんの宿泊した部屋には、泊まることが出来ます。


個人的なことですが、生前恩師である美術家 井田照一先生も、

晩年に桜井館に宿泊しています。イサムノグチさんのことを懐かしんでおられました。


桜井館には当時の宿帳はありませんが、白井地区の真壁御影石の石版に

イサムノグチさんがサインしたものが今も残っています。


確かにイサムノグチさんは、筑波山を眺めながら、真壁へ強い信念を持ちながら、

日米を跨る彫刻作品とワークショップをしにやってきたのです。    出町光識


つづく。。。次回は採石する話となります。


※このシリーズは真壁で関する石工ものつくり調査と、
  個人的推理を含む父と子関係や、創作の鍵を記したものです。
  近代史という記述表現として難しいことがあるかも知れません。
  名前や、一部断定的な事実に異なる事もあるかもしれないことを
  お断りしておきたいと思います。 




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by super-bird | 2008-03-09 10:23 | 気になるおしゃべり
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