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宮島達男 Art in You 評
2008年2月16日から水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催されている

『宮島達男 Art in You』が、本日最終日を迎える。

まさにラストに向けカウントダウンは、9 8 7 6 5 4 3 2 1である。


昨日の午後は出来立てホヤホヤの桜川インターで北関東高速道路を使い、

水戸に車を滑らせた。雨のハイウェイは新しさをことさらに輝かせてくれた。


意外?かもしれないが、ぼくは宮島達男ファンである。

初めからあのデジタルが好きであった訳ではない。


若い頃はどうも機械音痴なモノで、あのデジタルが気どりすぎのように思えて、

とっつきにくかった。(美術好きの僻みか) いつからだろう作品好きになったのは?

記憶に曖昧だからたぶんはもう15年は経つのだろうか。。。。。


すでにその時どこかの美術館で惹きつけられてから、

心の何かと赤い数値はカウントダウンでシンクロされているのかもしれない。


今回、水戸での展覧会は宮島さんにとっては思いが深いものであろう。

むろん多くの作品を国内外の美術館や、アートワールドで発表はなさっているが、

茨城在住であるだけに、県内での展覧会は感無量だろう。(あくまで想像だが)


さて、水戸芸術館での展示であるが、こちらの期待の大きさを差し引けば概ね楽しめた。

辛口に思われるかもしれないが、ファンとはそのようなもので、けして太鼓モチではないからね。

入館料の800円は個人的には安い。誰かとCAFFでお茶でもしたと思えば

この倍は出しても、もう少し宮島ワールドにArt inしたかったのがファン心理かな。


昨今、美術館独自の生き残り経済状態や、県内の美術教育の低さから、

800円は妥当なのだろう。  がんばれ!水戸芸術館!!


さてさて、『Desth of time』は、やはり鑑賞体感して心地がいいね。

このA展示室は初めと終りに2回鑑賞しました。

紅のデジタルカウントダウンと、そのライン。

転倒しないデジタル数値。

床に乱反射する流れる赤い光。

部屋の中での無音さが、自らの鼓動とデジタルがカウントダウンし、

どこかひとつとは無音に共鳴する。。。。

無機質と有機質のシンクロが高貴に美しい。   (広島市現代美術館蔵)


B展示室の『Counthig in You』は今回の新作であり、

水戸芸術館のためだけに存在した作品である。

個人的に好きな作品で、この場にしか存在しないこのような、

その場で生まれるArt は、美術館での展覧会期間に、決められたものだけが共有する

磁場なので、会期終了と共に水戸芸術館の歴史の壁に消滅という

存在にカウントされていく。 宮島さんの柔らかさが愛すべき一品。


C展示室の『Counter Skin』はメディアで先に見て知っていた作品で、

これが実は1番見たかった作品で、宮島さんの現在の立ち位置を知ることに

想像していたからだ。様々な鮮やかな色のカラーリングが、

ワークショップキャラバンの楽しさをかもし出している。

このYouにもつながる、すべては個と個。向き合う時は一対一。

宮島さんと名の知れぬ個人。。。。

個人的には儀式性を強く、心に響かせる為にも黒いカウンター数字にして欲しかった。

そうすれば各地4箇所のカラー写真の、地域背景により強力なメッセージを

のせられたのでないだろうか。 このワークはこれからも期待していきたい。

しかしながらこの展示に水戸芸術館の2室(3室?)も使ったことは考えるべきでないだろうか。

むろん予算関係上もあるのだろうが。。。。


E展示室の『HOTO』はどこかユーモラスで滑稽である。

この宝塔は何故か色とりどりのデジタルカウンターが点滅するだけで、

楽しくて笑顔になる。

まるでいつの日かSF映画で見たロボットのようにも見えてくるし、

それはビデオアーティスト 故ナムジュン・パイクさんを連想させずにはいられない。

何故僕らは、カラフルな電飾になると懐かしくワクワクするのかな。


D・G・F合同展示室は今ひとつまとまりにかけているように思う。

ここの展示の仕方が水戸芸術館では展覧会イメージのひとつのキーになるので、

作家としては頭の悩ませど頃でもある。だからこそ大切な場所だといつも感じる。


D 『C.T.C.S.with You』は、『Counthig in You』同様に

鑑賞する者が作品の一部になる作品です。

鏡に映りこむ自分に、これまで鑑賞してきた『Counter Skin』にもオーバーラップして

自動書記的にワークショップを疑似体験をすることになる。

宮島さんが何処までそれを目論んでいたのかは不明であるが、

空間と時間が交錯連動して共通の0(ゼロ)ワールドで、シンクロというか、『空』となり、

この展覧会『Art in You』が、地球にひとつのコミュニティを仮想させてくれた。

ぼくが記憶するに、このような小品でありながら、これほど展覧会内容で

響きあい連鎖思考させる作品はあまり存在しないと思う。何気に愛らしく楽しめました。


G 『Death Clock』 は、ワークショップに参加した者が、自分の死亡年月日を入力し、

画面に写真とカウンターが写りだされている。宮島さんの思考は理解できるのだが、

やはり展示の仕方がその意識を、ここに来る新たな鑑賞者にシンクロして伝わりにくい。

やはり1室しっかり場所を確保して、50人の50台の画面を整然と並べて欲しかった。

その無機質化と新に訪れる鑑賞者の呼吸が、死の意識を更に高めたに違いないだろうから。

分かりやすく言えば落語の『死神』ですよ。あのともし火の蝋燭です。。。


F 『Performance Drawing』は、空也上人像を思わせて、

宮島さんのドローイングの人物の顔も、表情の脱力感がそれに似て面白い。

このような感覚が本人の核なんだろうな。なんだか嬉しい作品です。


H 『Peace in Art Passport 』は、終りの最終的な場所に

申し訳ないように存在していたが、ぼくならばこれを1番始めの場所に持ってきたい。

パスポートなんだからね。このプロジェクトの存在は廊下の片隅で申し訳ないようでなく、

1室の真ん中にポツンと置いても存在力があるだろう。

アレでは作品が可哀想ですよ。 想像力が広がりませんな。


Ⅰ『Peace in You』は、初見無知な自分は、宮島さんの作品とは思わなかった。

ビックリでしたこのようなドローイングを書くとは。。。。

作品から不思議とアートワールドで存在する作家の匂いを感じさせてくれました。

宮島さんの作品言語は世界共通語ですね。


以上が作品の感想などです。

もう少し見たい、Art inしたい、こちらの気持ちがもっと欲しています。

今もってこれほど楽しめるのだから、好い展覧会だったと思います。

入館する入り口の展示会タイトルに、意味ありげなスポット当てるのであれば、

本日終了時間までのカウントダウンシグナルを写して欲しかったな。


新生?真正?宮島達男さんの個に向き合う作品方法と、

葛飾生まれで落語家のような寅さんが、全国行脚のワークショップのテキヤさん稼業を

場所から場所に歩く、宮島ワールド作品をこれからも楽しみにしていますよ。   出町光識


追記 帰り道ではKREVAの最新ベストを聞きながら一般道で帰ってきた。
    こんなん聞いてるのも意外?でしょうか・・・・?



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by super-bird | 2008-05-11 10:23 | 美術to工藝
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